日記 映画館

スマホメモに残っていた日記の供養

 放課後に映画を観にきている。今日は木曜日。大学は1限から4限。のはずだった。……というのも、4限、生徒指導の授業を受け持つ先生の体調不良で、突然授業がなくなった。オンデマンドになったのであるのはあるが。

 3限を終え、思いがけず早く大学を出られた私は、足取り軽く天王寺へ戻った。

上映時刻30分前、チケットを発券。入口付近の椅子に腰かけて時間を潰す。

 平日夕方の映画館。人生で初めて来たかもしれない。完全無人、閑古鳥鳴きまくり、かと思いきや、場内には意外と人がちらほら。親子二人連れ、おじさん、おじさん、会社帰りらしきお姉さん、女子高生。みんな一人だ。忙しい平日終わり、一人でのんびりとしたい人たちが集う場所なのかもしれない。正直、かなり居心地がいい。みんな同じ気持ちなのだ。みんな今日を生き延びて来た。みんな一人になりたいのだ。ほっとする。人知れずここに来るような人が好きだ、と思う。

 ジュースでも買うつもりであったが、フードカウンターがあまりにも閑散としていて、店員をわざわざ呼びつけるのも気が引けたので遠慮した。しかし劇場内に入り、周囲を見渡すと、私と同年代ぐらいの男の子がジュースをすすっている。いいなあ。私も買えばよかった。

 劇場内は人がぽつぽつと、5・6人ほど座っている。それでも、サブスクが隆盛を極める昨今、映画館に足を運ぶ変わり者がこんなにいるのだと思うと、ちょっと面白い。

正直いうと、アマプラで家で適当に見流す映画よりも、1000円払って、赤いあの椅子に腰掛けて時間を拘束されながら観る映画の方が、よっぽど記憶にも残るし、体験として価値があるように思う。

.世界への求愛

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