ファミレスにて

今夜は母が不在なのをいいことに、最寄駅のファミレスに来た。ファミレスでは、駅や大学周辺など、普段歩く場所では見られない人たちを見ることができる。要するに、ドリンクバーで居座って長々と駄弁る学生グループや、そろいもそろって暗い服を着た中高年の大家族とか。ドリンクバーに背を向ける格好で、一番入り口近くの席に座っているので、出入りする人がよく見える。たまにレジを打ちに出てくる店員は女性が多い。皆一様に覇気のない声をしている。

ハンバーグとゆで卵の乗ったミートソース・パスタと、チェダーチーズのサラダと、ドリンクバーを頼む。しゃべるロボットが運んできたパスタは、厚いハンバーグとゆで卵が丸々一つ乗っていて、圧巻の光景だ。少しずつ口に入れる。日記帳を開き、ここ1週間ほど書けていなかった一行日記を少しずつ書き進める。ペンとノートを机の上に散らかして、ドリンクバーをごくごく飲んで、大きなハンバーグを頬張って、いかにも学生といったシチュエーションに浮き浮きとする。

日記にも書いたが、今月は充実していた。


・定期演奏会

・レジュメに追われる

・琵琶湖を訪れる

・髪を切ってショートヘアになる

・みんなで学食のかき氷をたべる

・みんなで暑い中歩いてオランダ屋のモーニング食べに行く

・外部の軽音ライブに出演、絶賛される

・ニコこれでちちゃんとチェキとって一人居酒屋

空きコマに娯楽室へ向かうと、いつだってみんなが待っている。どっかと荷物(PCや授業プリント、本や手帳、メイク道具が詰まっている)を置いてたたみの床に座り込み、あづいーとこぼせば、疲れたみんなの声が同調する。楽しいことしようよー、と知らず誰かが口にする。したい!と俄然浮き足だった声が応える。そうなればアイデアは止まらない。アイス食べよう。あそこのカフェのモーニングに行こう。サークルの次のライブが楽しみだ。このバンドのコピーを組みたい。あの人と一緒にバンドしたい。おいしいもの食べに行こう。酒飲もう。

酒〜!!と一気に場が活気づく。私の周りには、弱いけど酒好きな人が多い。私たちはいつだって酔っぱらいたい。ゆるりとした楽しさ、どこへ流されるのかわからない不安感、それらを脱ぎ去って高みへ昇りたいのだ。

ある時は一斉に席を立って購買へ向かい、思い思いのアイスを買う。そのまま部屋に戻る時はいいが、蒸し暑いサウナのような屋外で開けると、アイスはすぐに汗を流し始めるので困る。チマチマと舐める。そしてレジュメ終わらん、あの教授がカス、などと愚痴をこぼしあう。夏休みの予定を話し合うときもある。私たちの座る部屋の一角のテーブルを、憎らしいほど青く澄んだ夏の空が見下ろしている。

私たちのはなしは、未来の楽しいことばかりだ。

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